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一級建築士に最年少で一発合格するための心構え

2021年7月10日

建築図面

本記事では一級建築士試験に最年少で一発合格した著者が、実際の体験をもとに合格するための心構えを紹介します。

この記事でわかること

  • 一級建築士試験の合格体験記
  • 一級建築士試験に合格するための心構え
一級建築士 免許
一級建築士免許証明書

一級建築士を最年少かつストレートで合格するのは正直、むずかしいです。

わたしの推計では4~5%くらい。

とはいえ試験なので才能は必要ありません。

やるべきことは決まっているので、合格するレベルまで努力すること。これだけです。

いやいや、その努力ができないんだよ…という声が聞こえてきますが、

「本気で受かりたい想い」があれば、きっと大丈夫です!

なぜなら、下記のように特別"デキる人"でもなかった私が、はじめての受験でストレート合格することができたから

  • 予備校の2年コースに通っていたが、最初は"やる気"がでずに半分くらいお金をムダにしてしまった。
  • 学科試験は、1か月前の模試で合格ラインを大幅に下まわる悲惨な点数だった。
  • 製図試験は、予備校のクラスのなかで図面を描くのが最も遅く、知識もなかった。

周囲から"受からない"と思われていた状況をくつがえして合格することができたのは、

自分にとって"やるべきこと"をやり、絶対合格するという気持ちで最後まであきらめなかったからです。

この記事では、わたしが実際に試験を受けたときの体験をまじえて、一級建築士試験に一発合格するために大切なことを紹介しています。

テクニック的なことは予備校の講師が教えてくれるので、本記事では細かく紹介していません。予備校に通うことを前提とした記事となっていますので、もし独学でチャレンジするという場合は、さらなる努力が必要ですね。

一級建築士合格Diary
一級建築士試験の勉強で使用した記録(総合資格)

一級建築士とは?

一級建築士。建築業界を知らない人にとってはなじみがないかもしれません。

簡単にいうと、一級建築士を持っていれば、どんな建築物でも設計することができます

細かい説明は省略しますが、建築業界では上位の国家資格です。

一級建築士を取得してから5年の実務経験を経て、構造設計一級建築士および設備設計一級建築士を取得することも可能。

持っていれば、それなりの評価を受ける資格ですね。

一級建築士試験の難易度

それでは一級建築士試験の難易度はどの程度でしょうか。

下図の「合格率の実績」をみてみましょう。

一級建築士の合格率

例年変動はありますが、過去10年間で概ね10%~13%の合格率で推移していることが分かりますね。

ただし、これは学科試験をパスして設計製図試験から受験するひとも含まれており、学科試験からストレートで合格する割合はさらに低くなります。

学科試験を合格して設計製図試験に不合格だった場合は、 翌年、翌々年は学科試験免除でした。それが令和2年の法改正で、受験翌年以降の4年以内に2回まで学科試験が免除されるようになりました。

ストレート合格率は公表されていないため、受験者数と合格者数をもとに、わたしが受験した2017年を例にストレート合格率を予想してみましょう。

  • 総受験者数は31,061人
  • 学科試験の合格者数は4,946人
  • 設計製図試験の受験者数は8,931人
  • 設計製図試験の合格者数は3,365人
  • よって設計製図試験の受験者数のうち、学科試験を通過して受験した割合は55.4%となります(4,946人÷8,931人)
  • 設計製図試験の合格者のうち、学科試験受験後にストレートで合格した人と学科試験免除で設計製図試験に合格した人の割合が同じと仮定すると、学科+設計製図の合格者は1,864人となります(3,365人×55.4%)
  • したがって、総受験者数に対して、学科+製図試験のストレート合格率は6.0%となります。(1,864人÷31,061人)

ストレート合格率は数%と、かなり難易度が高いことがわかりましたね。

裏を返せば、20人に1人は合格できるということ。

100人に1人と言われると大変な思いですが、20人に1人なら合格できそうな気がしませんか?

最年少で一発合格する割合

それでは、ストレート合格のなかで、最年少で合格する割合はどの程度なのか見てみましょう。

筆者の受験年は法改正前の2017年なので、25歳が最も若く受験できる年齢でした。

「国土交通省のPress Release」によると、「設計製図の試験」合格者3,365人のうち、24才~26才の割合が21%となっていました。

公表資料は24才~となっていますが、基本的に24才の受験者はいないはずなので、ここでは25才および26才が全体の21%と仮定します。

このなかで25才がどの程度の割合を占めているか。

25才はストレート合格者のみとなるので、先ほどの学科+設計製図試験のストレート合格率6.0%未満の割合になります。

年齢を重ねるほどに初受験者が少なくなることを考えると、ストレート合格者の中でも25才が大半を占めると想定できますね。

よって、最年少かつストレートで合格する割合は、あくまで感覚ですが、4~5%程度になると予想します。

一級建築士になろうと思ったきっかけ

以上より一級建築士試験の難易度が高いことが分かりました。

それでは、勉強がたいへんな一級建築士を私はなぜ受けようと思ったのか。

身もふたもないですが、結論からいうと、特に資格をとってこんなことしたい、というような明確な理由はありませんでした

大学の建築学科~就職まで

大学受験のときに何となく興味があって建築学科に入り、大学院へ進んで研究はしたくないから、学部卒で就職だな。

どこにしよう…。

施工管理は向いてない…、設計だな

でも意匠設計がよいけど、アトリエ系とかデザイン系の事務所ではやっていける自信ないな。

研究室は環境設備系だから設備設計もできるけど、それも嫌だな。

学部卒だと組織設計事務所に入るのむずかしいし、どうしよう。メーカーとかも受けてみよう。

しかし全然受からない

やりたいことも就職したいところも見つからず、コミュニケーション能力に乏しかったわたしは、就活が上手くいかずに自分のことがさらに嫌いになりました。

大学の周囲の人はどんどん内定をもらって就職決めている。

自分は最後に取り残され、劣等感にさいなまれる。

そんなときに何となく面接しに行ってみた会社から内定を頂きました。

あとから振り返ると、もう少し考えても良かったと思いますが…。

ただ就活を終わらせたい思いが勝ち、その会社に決めました。

総合資格の2年コースを受講

就職が決まってから大学4年生で研究室に配属されているころ、研究室へ出入りしている総合資格の営業にうながされ、高額な2年コースに契約。

たしか最初に契約したのが120万円くらいでした。製図対策講座のなかで追加で支払いがあったので、合格までかかった費用はもっと高額です。

今考えると、2年も必要なかったですね。まだ社会にもまれていない私は、まんまとエサに引っかかってしまいました…。受講するなら1年コースにしましょう。2年は不要です。学生のみなさん、しっかりと考えるように!

研究室の先輩の多くが受講していたこともあり、自分も設計の道に進むし必要かな…と疑いもなく受講することに決めてしまいましたね…。くやしい…。

1年コースにするとか、日建学院やTACにするとか、他にも選択肢があったなかでよく考えもせずに選択してしまったな、と今では思います。

このように、一級建築士試験を受験しようと思ったきっかけというのは、ただ建築業界で仕事するならとっておいた方がよいと思っただけでした。

やりたくないことを避けてきて、流されて気づいたら受験しようとなっていたというのが正直なところです。

このような経緯を知れば、こんな人でも一発合格できるんだなと思ってもらえるかもしれません。

ただ上記は大学在学中の話ですので、就職したあとに色々な経験をしたことで、就職して2年経ったころ(受験資格が得られる年)には私のなかで眠っていた情熱がわき上がってきたという経緯があります。

一級建築士試験を受験するデメリット

時間とお金

それでは、あえて話題にあげてみましたが、一級建築士試験を受験することにデメリットはあるのか?

一級建築士をとって設計者としてやっていく目標があるかたにとっては、デメリットは無いですよね。

しかし、犠牲にしなければいけないことはあります。

それは多大な時間とエネルギーの消費そして受験に掛かる費用です。

一級建築士試験合格に必要な時間は、約1,000時間と言われます。

本当に1,000時間やるとすれば、2年かける場合は1日平均1.4時間1年かける場合は1日平均約2.7時間が必要になる計算です。

建築業界で働いているだけで大変な社会人が、これほど長期間勉強を続けるのは、正直ハードですよね。

とくに試験前の半年~1年は、休日の趣味などはあきらめましょう。

実際にわたしが受験したときは、試験前の10か月くらいは仕事と勉強の記憶しかないですね…。

そして難易度が昔より高くなった現在の試験は、独学では難しい

予備校に通う場合は、それなりの出費が生じ、合格できずに受験が長引くと、どんどん支払う費用がふくれ上がっていきます。

つまり一級建築士は、建築業界にいれば確実に持っていたほうがよいものの、一発合格しないと時間とお金がすいとられることがデメリットといえます。

  • 試験対策は約1,000時間。
  • 予算は一発合格でも100万円は見ておいたほうがよい
  • 一発合格しないと時間もお金も増えていく

一級建築士試験に合格するメリット

喜び

一級建築士試験を受験するメリットは下記の通り。

  • 合格すれば、とくに他業界の人からすごい人だと思われる。
  • 合格までのプロセスで人間的に成長でき、自信につながる
  • 給与がアップする。
  • 転職しやすくなる。
  • 高く明確な目標に向かって努力することで人生が充実する。
  • 受験勉強が仕事の勉強にもなる。
  • 名刺に肩書きができ、信頼されやすい。
  • 予備校に通う場合は、切磋琢磨したライバル・仲間と友達になれるかも。
  • 合格したときには、涙が出るほどの感動体験ができる。

正直、試験勉強は大変です。

でも目標に向かって頑張っているときは人生が充実しますよね。

人によっては一級建築士をとって、大規模な建築を設計したいという明確な目標があるでしょう。

給与アップのため、肩書きが欲しい、独立したいなど、人によって様々な理由があると思います。

ただ、どんな人にとっても言えるのは、

合格するまでに頑張ったプロセスで得た成長

これが何にも代えがたい経験であり、受験して良かったと私は感じています。

学科試験に合格するために大切なこと

ここでは、学科試験に合格するために必要なことを、個人的な意見として話していきます。

まずは、学科試験を受験したときの話。

学科試験の合格体験記

わたしは総合資格の2年コースを受講したものの、初年度は仕事がものすごく忙しく、勉強に実がはいらない。

うつになりそうなくらい仕事で追いつめられた時期もありました。

そんな状況もあり、試験はまだ先だしモチベーションは上がらない。

休日のときにある授業は欠席することが多く、宿題も全然やっていませんでした。

そして学科試験の半年前になったころです。

ようやく試験が近づいてきた実感がわき、勉強に本腰を入れようと思いました。

年度末にかけて忙しい会社だったので、7月の試験にむけてちょうど勉強に力を入れやすいタイミングでもありました。

しかし4月、5月の模擬試験はどちらも合格点にほど遠い点数

そして本番1か月前の模擬試験は5科目合計で71点と、合格目標点の93点に対してかなり低い点数でした。

試験結果の評価には「この時期にこの点数ではもう合格は不可能に近い」といったことが書いてあった気が。

だらだらしていた自分が悪いのですが、1か月前でこの状況はすごくショックでした。

ところが、私はなぜかここで火がついたのです。

試験直前には1週間ほど有給休暇をとり1日10時間程かけて、1週間という短期間に集中して総合資格の教科書を読みこみ、教科書の内容を見なくても暗唱できるくらいに詰めこみました。

この作戦が功を奏して、本番は合格基準点が90点と例年より低いなか、私は97点という高得点で学科試験を通過することができました。

過去問を解くのも一つの勉強方法ではありますが、過去問は知識が断片的になるので、全体のつながりが分かりにくく、内容が頭に定着しにくいと私は思います。

この詰めこみの勉強方法が良いところは、教科書の知識を広い視点から把握することができ、ストーリーで知識を吸収できることです。

1冊の教科書の内容を全てみて把握することで、教科書の内容が出題されれば問題が解けるという自信にもつながります

具体的にわたしがやっていた詰めこみの勉強方法は下記の通り。

  1. まずは教科書を見て(声に出して)文章をそのまま暗記。
  2. その後、教科書を見ずに、どんな内容が書いてあったか声に出してみる。(心の中でもOK)
  3. 覚えていなかったら、もう一度教科書を見て覚えなおす。
  4. 教科書全てを覚えるつもりで隅から隅まで、この作業を繰り返していく。

すでに過去問を何度か解いている状態でやると、これまでやってきた過去問の内容がみるみるうちに頭に定着するようになってきました。

ただ補足すると、これは暗記系科目の学科Ⅰ(計画)・学科Ⅱ(環境・設備)・学科(施工)で特に有効な方法となります。

要は暗記しましょうということですが、ポイントを絞って1冊の教科書を暗記してしまうべきです。

法規に関してだけはとにかく問題をこなすこと、出題された部分にマーカーを何度も引くことが大事です。

私は法規だけは模擬試験のときも成績が良かったので、直前期でここまで点数を上げることができた理由として考えられるのは、法規だけは早い段階からしっかりと取り組んでいたからだったといえます。

それでは、学科試験に合格するために必要なことを、下記に改めてまとめました。

参考書は1つにしぼり、繰り返しおぼえる

1つの参考書だけだと心配になって、あれもこれも手を付けようとしてしまう。

ダメなパターンですね。

気持ちは分かりますが、時間は限られています。

予備校に通う場合は、もらった教科書だけを徹底的に覚えましょう。

それだけで合格します。

法規や計算は早めに問題慣れ

わたし自身、合格したポイントは学科Ⅲ(法規)を早い段階から意識して得点できるように鍛えていたことだと思っています。

サボリがちだった勉強も、法規の講師がきびしく分かりやすかったので、法規の勉強だけはしっかりとやっていました。

法規は問題を解けば解くほど身についていきます。

逆にここをサボると、おそらく直前期に巻き返すのは厳しくなるはずです。

直前期のラストスパートが最も大切

前に覚えたと思っていることでも、やはり時間が経てば忘れるものです。

なので暗記系科目は直前期に集中して詰めこみましょう。

ラストスパートが大事というのは、もちろん直前期に頑張れば何とかなるという甘い考えではなく、結果がでなくても、しっかりと過去問や模擬試験を解いてきたか、法規や計算問題に取り組んできたというベースがあっての上です。

このベースがあれば、最後、暗記系科目で一気に駆けあがることができます。

模擬試験や周りの評価は気にせず最後まであきらめない

あきらめたらそこで試合終了ですよ」スラムダンクの安西先生による名言が刺さりますね。

まさに試験の前日まで諦めないことが大事。

直前期は加速度的に知識が定着していきます。

仮にうまくいかなかったとしても、それは勉強量が足りていなかったという認識につながり、翌年の励みになるはずです。

今年はもういいや、とあきらめてしまう人は、いつまで経っても同じことを繰り返してしまうでしょう。

設計製図試験に合格するために必要なこと

設計製図試験は独学で合格するのは難しい。

そのため、ここからは予備校のカリキュラムにそって勉強することを前提にお話します。

設計製図試験はお金を払って、1年でスパっと合格してしまいましょう。

独学で何年もやる方が時間(=お金)の無駄です。

設計製図の試験時間は6時間半と長く、知力のほかに体力・気力も必要な過酷な試験。

初受験者にとっては、「設計製図試験経験者(=2回目以降の受験者)で、製図のための勉強に多くの時間をかけられる人」と同じ土俵で戦うことになります。

一見すると、設計製図試験経験者の方が有利ではないか?と思う人もいるかもしれません。

いや、そんなことはありません。

なぜかというと、設計製図試験の課題は学科試験のあとに発表されるので、スタートラインは同じだからです。

確かに作図する能力で比較すると、経験者の方が圧倒的に書き慣れていると言えます。

でも大丈夫です。しっかりやっていれば、作図能力は試験までに必ず追いつきます

それよりも大事なのはプランニングや記述力といった思考能力

むしろ初受験者の方が素直に知識を吸収できますし、時間が無いという危機感から吸収スピードも桁違いだと思います。

わたしが合格するために考えたことは、まずは徹底して素直に総合資格の講師の言うとおりにし、その上で自分のやり方に合う方法を加えていくという勉強でした。

設計製図試験とは何か、何も知らない状態から始まり、本試験まで2か月しか残っていない。

自分で考えている暇はない。とにかく言われたことを全力で取り組もうと思いました。

初めは経験者に全く付いていけない

はじめての受験者は作図に慣れていないので、最初は経験者には全くついていけません。

この時点で多少の"あせり"が生まれることになります。

でも初心者の強みは圧倒的な吸収力。本気になればすぐに追いつくことができます。

設計製図の講座が始まり、1か月が経ったころでしょうか。

初受験者と経験者の差は"ほぼ"無くなってきたように記憶しています。

伸び悩んだころ、人と違う"あること"を取り入れた

設計

私はどちらかというと作図スピードが思うように上がらず、"作図で時間切れ"という傾向がありました。

プランニングや記述はあと一歩。

本試験まで着実にやっていけば問題ないという自信がありました。

しかし、作図スピードをどうやって上げるか

自分の性格上、雑に書いてスピードを上げることはできなそう。

そんなとき講師から「壁の2本線を極太のシャープペンシルで1本線にして書くやり方」に変更してはどうかという提案がありました。

本来は壁を描くときは2本の線で厚みを表現するのがふつうで、みんなが当たり前に使っている描き方です。

1本の極太線で描くことで、2工程が1工程になり、大幅な時間短縮となりますね。

自分にとっては画期的な方法だと思ったのですが、手抜きになるし、ほぼ誰もやっていないのでおすすめはしないようでした。

でも見ばえの問題よりも作図が進まない方が問題であると考えたわたしは、その新しいやり方を取り入れることにしたのです。

その戦略が功を奏して作図スピードが劇的に向上し、設計製図を最後まで描き終えることができるようになったのです。

本試験は難易度が高かった

製図試験のための勉強、作図のトレーニングはやりきった。

あとは本番にのぞむだけ。

という良い状態で試験にむかえることができました。

絶対に自分は一発で合格する。という気持ちを持ち、緊張感もさほどありませんでした。

そして本試験の問題。

今回は難易度が高かった。

総合資格で出していた問題はどれも全く参考にならなかったと言ってよいくらい、これまでと傾向が異なる問題でした。

結果は"多くの人が出来なかった"と意気消沈する問題でしたが、プランニングに関してわたしは模範解答に近い案を作成することができたのです。

しかし、プランを立てることに時間を使いすぎて作図は間にあわず、未完成の状態で試験を終了することになったのでした。

なので多くの人が全くできなかったと言っている問題を、わたしは完璧なプランニングができた。しかし作図は終わらなかった

それも描けなかった部分がかなり多く残っていました

これがどっちに転ぶか分からない。

例年どおりの難しさであれば、作図の多くが描ききれていない私は、確実に不合格となっていたでしょう。

総合資格の講師はわたしの答案を見て、「不合格」になるだろうと思っていたようです。

しかし、教室にいるほとんどの人が「できなかった」という悔しい表情を浮かべている様子を見て、これなら絶対に受かっているはずという気持ちを持ち続けていました。

…そして合格発表の日。

昼休みにオフィスのパソコンで受験番号を探す。

どこにも見あたらない…。

落ちた…。

がっくりしていました。

そこに総合資格から電話が掛かってくる。

あー落ちましたね…。(私)

という低いテンションで対応していたが、何だか話が嚙みあわない。

もういちど合格者一覧をよく見ると、目立たないところに自分の名前があったのです!!

昼休みで暗く静かなオフィスのなか、私は静かにこぶしをにぎりしめ、ひとり感極まっているのでした。

高校受験に合格したときよりも、大学受験に合格したときよりも数倍嬉しい。

一生心に残る経験となりました

一級建築士試験に合格するために大切なこと

合格するために大切な3つのことをまとめます。

勉強方法といったテクニックも大事ですが、それ以上に大事なのは精神面です。

(1)強いモチベーションとなる動機をつくる

モチベーション

まずは一番大事なことです。

勉強は強い動機が無いと絶対にやりません。

一級建築士試験に一発合格するためには"強い"動機が必要

仕事が忙しいから…、合格したいけど来年以降もチャンスはある…、など思っている人は絶対に受からないでしょう。

ポジティブでもネガティブでも、不純な動機でも、自分にとっての強いモチベーションにつながれば何でもいいのです。

私は下記のようなことを考え、モチベーションとしていました。ネガティブなものも多いですね。

  • 総合資格の2年コースで無駄にお金を使った。来年も予備校にお金を使うなんてありえない
  • 会社を辞めて転職することも考えていた。転職するために一級建築士が欲しい。
  • 資格の勉強に2年以上費やしている場合ではない。早く合格して新しいことをしたい
  • シンプルに最年少で一発合格ってカッコいい
  • 受験した頃はまだ心から自分に自信を持っていなくて劣等感があった。これを機にもっと自信を持ちたい
  • 絶対に一発で合格すると言葉に出していた

現状に満足していなかったり、悔しい気持ちは強い原動力になります。

逃げ道をつくらずに、周りに宣言して、全力集中しましょう

仮に落ちたとしても、恥ずかしいことはない。

恥ずかしいのは全力で取り組まずに試験に落ち、言い訳をしている人です。

絶対に合格するという強いモチベーションがあれば、もう受かったも同然です。

(2)余計なプライドは捨て素直になる

総合資格のような予備校に通う場合。

(設計製図はほとんどの人が通うでしょう)

とくに設計製図は、予備校の用意するメニューを忠実にこなし、講師の言うことを素直に聞きましょう

何度も受験している人に限って、予備校の言うことを素直に聞かずに我流を取りいれている印象がありました。

わたしは初受験で最初は右も左も分からない状態から始まったことや、若くして受験したので実務経験が少ないことが功を奏したのかもしれません。

徹底的に素直に聞いて、言われたことをやって吸収していくことを徹底しました。

合格するプランニングにはある程度、型(マニュアル)があります。

実務経験や受験経験が長い人ほど、自分の色や人と違う何かを出そうとしてしまいがちです。

余計なプライドは捨て、素直に講師の言うことへ耳を傾けましょう。

(3)自分を信じ直前まであきらめない

信じる

一生懸命取り組んでいても上手くいかないとき、必ず周囲の人の言動に揺さぶられるときがあるはずです。

良い意見は取りいれるべきですが、必ずしも自分にとってベストとは限らない。

先ほど、素直に耳を傾けると言いました。

しかし、100%何でも言うことを聞け、ということではありません

教える人も完璧ではない。

自分のことは自分が一番よく知っているはず。

自分にとってのベストを自分の頭で考え、教えてもらったことに上乗せしましょう。

試験は他人の結果がどうであろうと関係ないのです。

自分の実力を信じられるまで努力して、堂々と試験にのぞめばよいのです。

試験の実力は本番当日まで上昇していきます。

試験1週間前にできていないことでも、本番当日にできるようになれば良いのです。

「1か月前の模擬試験の成績が悪かった。」

裏を返せば、まだ1か月もある。

1か月本気で頑張れば、必ず修正できます

言い訳せずにやるかやらないか。

最後まであきらめない、合格への強い気持ちを持った人に良い運気がめぐってきます。

終わりに

四つ葉のクローバー

最後までご覧頂きありがとうございます。

私が一発で合格できたのは、運が良かったとも思っています。

ですが良い運を引き寄せたのは、全力で前向きにやりきったから。

合格したいという強い気持ちがあれば必ずうまくいきます。

そして全力で取り組んだ貴重な経験は、人生の中で必ずプラスになります。

それでは、みなさんの受験勉強、ひいては人生に少しでもお役立ちできれば幸いです。

  • この記事を書いた人

ごりん

東京理科大学卒業後、建築・設備設計事務所にて約3年は設計・積算・工事監理業務を経験。一級建築士を取得後コンサル会社に転職。約5年はコストマネジメントや建設市場調査業務に従事。2022年から30歳で個人事業主に。

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